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おとうさん がんばって <4月29日>

2021.04.29

 東京で1月以来感染者が1000人を超えたと報道された29日、東京オリンピックの聖火は全国を走っています。聖火ランナーに関する記事で感動したので少し長いですが紹介します。

 『鹿児島県内で27日実施された東京五輪聖火リレー1日目、第3区間の奄美市では、白血病を乗り越えた鹿屋市の大姶良小学校教諭、深美陽市さん(37)が笑顔で走った。

 声援を送ることが制限された沿道で、「おとうさん がんばって」とカラフルな文字で書いた画用紙を掲げて応援する息子たちの姿を見つけると、センターラインからわずかに歩み寄り、手を振った。

 西都市出身。高校3年の1月、首の腫れで、入院した。3カ月ほどたったころ、無菌室に入り、髪の毛が抜けていく白血病患者をテレビで見た。自身の姿と重なった。看護師にその話をした翌日、急性骨髄性白血病と医師から告げられた。同席した父穣治さん(68)は「どうしても言えなかった」と泣いた。涙を見るのは初めてだった。

 抗がん剤治療はつらく、死んで楽になりたいと考えたこともあった。母賀津子さん(63)が作ってきた冷や汁を投げつけたこともあった。

 両親は農業をやめ、畑を売った。穣治さんはごみ収集の仕事を始め、賀津子さんはコンビニの総菜を作る工場で働いた。仕事を終えると毎日病院に足を運び、帰りはいつも涙に暮れていた。

 治療を始めてから約1年後、ドナーが見つかり、手術は無事成功。大学で健康教育を学び、「命の大切さを伝えたい」と教師の道に進んだ。

 間近で息子の走る姿を見た穣治さんは「本人が、よく頑張ったと思う。今日は幸せな気持ちになれました」と喜んだ。

 賀津子さんは、近づく息子に向かって左手をほんの少し前へ突き出し、「あっという間でした」と笑顔を見せ、「『かっこよかったよ』って、言ってやります」と誇らしげだった。

 大学の同級生で養護教諭の妻亜希さん(35)から「つらい治療に耐えながら、頑張っている人の励みになるよう元気に走って」とアドバイスされていた。

 「健康であることの大切さ、生きていることの素晴らしさを、自らの体験を通じて伝える『命の授業』に聖火リレーの体験を付け加えたい」。深美さんは晴れ晴れとした表情を見せた。』29日南日本新聞が配信した記事です。

 聖火リレーを巡ってはコロナ禍などの問題で著名人が辞退したり、公道を走らず公園内を周回し観客はソーシャルディスタンスを取って声を出さないなど、いつもと違う様々な制限の中で進められています。

 しかしこの記事のように苦難を乗り越えたり、誰かのために頑張ろうという、人一倍強い思いで走る方の感動の記事もいろいろ紹介されており、まさに聖火リレーの意義のように思います。

 これからも数々のドラマを生みながら、東京に向かう聖火を見守りたいと思います。